ヒューレットパッカード(以下HP)のタブレットPC、HP Spectre Folio 13をレビューする機会をいただきました。
13.3インチの薄型ノートパソコンで、あまり他では見かけないレザーケースが一体型になったモデル。
おしゃれでコンパクトなボディににどれだけのスペックを秘めているのか、詳しく検証してみました。
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HP Spectre Folio 13の基本情報

今回使用しているのはHP Spectre Folio 13のベーシックモデル、カラーはコニャックブラウンです。
どういったパソコンなのか、まずは基本的なスペックからご紹介します。
スペック
HP Spectre Folio 13(ベーシックモデル)の基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home (64bit) |
---|---|
CPU | Core i5-8200Y |
GPU | Intel HD Graphics 615 |
メモリ | 8GB(1866MHz、LPDDR3、SDRAM) |
ストレージ | PCIe NVMe M.2 SSD 512GB |
搭載されているCPUは第8世代のCore i5で、静かで省電力が特徴のファンレスタイプ。
薄型のノートパソコンによく使われているモデルですね。
CPU-Zで分析した結果は以下の通り。

ラインナップ
HP Spectre Folio 13のラインナップは大きく3つに分かれています。
モデル | OS | CPU | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
ベーシックモデル | Windows 10 Home | Core i5-8200Y | 8GB | 169,800円〜 |
スタンダードモデル | Windows 10 Home | Core i7-8500Y | 8GB | 194,800円〜 |
スタンダード・Officeモデル | Windows 10 Home | Core i7-8500Y | 8GB | 222,800円〜 |
簡単な事務作業程度ならベーシックモデルで問題なさそうですが、ガッツリ使い込むつもりならスタンダードモデル以上を考えたいところ。
ExcelやWordなどを使う前提で考えるなら、Office搭載モデルを選びましょう。
いずれもカラーはコニャックブラウンのみですが、2019年春以降はボルドーバーガンディというシックなカラーが追加される予定です。
記載している仕様・価格は記事執筆時点のものなので、最新情報はその都度公式サイトにてご確認ください。
外観・サイズ
ここからは外観や大きさについて見ていきます。

ノートパソコン用のレザーケースはよくありますが、HP Spectre Folio 13はレザーが最初からくっついている一体型。
使用されているのは合皮ではなく、フルグレインレザーと呼ばれる強度・耐久性・通気性ともに最高ランクの牛革。
使い込んでいくとレザー特有の質感が出ていくそうで、長く使う方にとっては経年変化も楽しめそうです。

裏面もレザーでしっかりと覆われています。
仕様上のサイズは321×236mmで、一般的なA4のクリアファイルと比べると少し大きめです。

一般的な13インチのパソコンとほとんど変わらない大きさで、ビジネスバッグなどにも入れやすいサイズ。
分厚さは15.9~17.2mmでとてもスリムです。

重量は1.48kgと、片手で持ち歩いても苦になりません。
ビジネスバッグに入れても、そこまで重さを感じることはないでしょう。
レザーの扱いに要注意
レザーが特徴的なHP Spectre Folio 13ですが、注意すべき点がいくつかあります。
- 直射日光のあたる場所、湿度の高い場所に長時間放置してはいけない
- インクなどのレザーが変色する物質に接触させてはいけない
- 水にぬれたときは柔らかい布で軽くたたくようにして乾かす
- 尖ったものや凹凸のある面に接触させてはいけない など
一般的なノートパソコンと同じような感覚で使っていると、レザーが痛んでしまうリスクがあります。
お財布や革靴など、レザーの扱いに慣れている方にとっては当たり前のことに思えるかもしれませんね。
レザーゆえの面倒くささを楽しめる方でないと、使いづらそうです。
インターフェイス
ここからは主なインターフェイスについて見ていきます。
ポート類は徹底的に簡素化されていて、右側面にはType-CのUSBポート2つのみ。
ACアダプターもType-Cで接続します。

左側にもType-CのUSBポートがひとつと、イヤホンなどを接続するポートがひとつ。

Type-Cの扱いに慣れている方なら問題ありませんが、一般的なUSBメモリなどを使うなら以下のようなUSBハブを別途購入しないといけません。

外付けのディスプレイやプロジェクターに接続するときをはじめ、SDカードなどを読み込むときもUSBハブが必要です。
用途次第では少々使いづらいと感じてしまうかもしれません。
ACアダプターもコンパクト

ACアダプターはUSB Type-Cで接続する、65Wのコンパクトなタイプ。
繊維風のコードで、アダプターに巻き付けられるようになっているのは便利ですね。
そもそもバッテリーも最大19時間駆動という大容量タイプなので、ちょっとした外出ならACアダプターを持ち歩く必要はなさそうです。
もちろんパソコンの使い方次第でバッテリーの減り方は変わるので、心配な方はACアダプターを持ち歩きましょう。
ディスプレイ

ディスプレイは13.3インチワイドのフルHD(1920×1080)ブライトビューに対応。
光沢タイプなので、写真のように角度次第で蛍光灯がガッツリ映り込みます。
マットな質感にしたい方は、家電量販店などでつや消しタイプの保護シートを買いましょう。

ちなみに、ディスプレイはタッチパネルに対応。
指でも簡単に操作できます。
用途に合わせて使い分けられる
HP Spectre Folio 13の魅力のひとつは、用途に合わせてパソコンの形状を変えられること。
まずは一般的なノートパソコンの形状から。

普段はこの状態で使う方が多いことでしょう。
ただ、最大でも120度くらいまでしか開きません。
デスク上での作業なら問題なさそうですが、ひざの上にパソコンを置くときなどは少し使いづらいかも。

Youtubeで動画を見たり、AmazonのプライムビデオのようなVODを見るときは、メディアモードがおすすめ。

動画鑑賞以外でも、キーボード操作が必要ないときは、この状態が使いやすそうです。
さらにタブレットモードとして使うことも可能です。

ネットサーフィンやちょっとしたメールチェック程度なら、タブレットモードでも十分使えますね。
ヘッドフォンと組み合わせると快適
メディアモードやタブレットモードで動画を楽しむときは、ヘッドフォンを活用すると臨場感がアップします。
今回、B&O(Bang & Olufsen)のノイズキャンセリングヘッドフォンを使ってみたのですが、一般的なイヤホンとは別次元ですね。

安いモデルで2万円前後という高級ブランドなので当然かもしれませんね。
雑音がきれいにシャットアウトされて、映画館で見ているかのような立体的な音を味わえます。

パソコンとの接続も一般的なイヤホンジャックをはじめ、Type-CのUSB、さらにワイヤレスも使用可能。
せっかくおしゃれなパソコンを使うなら、ヘッドフォンなどの周辺機器もこだわったものを使いたいですね。
キーボード
ここからはキーボードを見ていきます。

一般的な日本語配列のキーボードで、キーピッチは約19.7×19.7mm、キーストロークは約1.3mm。
テンキーはありません。

バックライトも搭載されているので、暗い場所で作業するときも安心です。
個人的にはもう少し明るく光ってほしいところ。

タッチパッドも一般的なものですね。
Macbook Proなどと比べると、少々なめらかさには欠けます。
細かい作業をするときはマウスを使ったほうがよさそうです。
キータイプ音はカチャカチャ系
キータイプ音については、動画で実際の音を確認してみてください。
薄型ノートパソコンにありがちなポコポコ系ですね。
キーボードを叩いているというよりは、デスクを叩いているような感覚があります。
打鍵感にこだわる方は別途外付けのキーボードを使いましょう。
アクティブペン
HP Spectre Folio 13には標準でアクティブペンが付属しています。

Type-CのUSBで充電するタイプで、1024段階の筆圧検知と傾きに対応。
一度充電してしまえば、連続で約10時間使えます。
充電したまま使えないのは少々残念。
描いている様子を動画にしてみたので、こちらもご覧ください。
ちょっとした手書きメモや、簡単なイラスト制作ならそれなりに使えます。
ただ、仕事として使うのは少し厳しい印象です。
わずかながらタイムラグが発生しますし、細かい動きに対応しきれていません。
お絵かき性能を重視するなら、iPad Proを買ったほうが幸せになれるでしょう。
各種ベンチマーク結果
ここからは各種ベンチマークソフトなどを使用して、HP Spectre Folio 13の性能面を見ていきます。
まずはCPUから見ていきましょう。
CPU

CINEBENCH R15でCPUの基本性能をチェックしてみたところ、237cbという結果でした。
省電力タイプのCore i5なので、こんなものでしょうか。
薄型ノートパソコンに搭載されている主なCPUと比べてみると、ご覧の通り。

性能面に妥協したくない方は、Core i7-8500Yが搭載されているスタンダードモデルを買いましょう。
いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
ストレージ
搭載されているSSDはPCIe NVMe M.2に対応したもので、CrystalDiskMarkでチェックしたところ期待通りの数値が出ました。

一般的なSSDと転送速度にどれだけ差があるのかというと、おおよその平均値で比較すると以下の通り。

一般的なHDDと比べると雲泥の差です。
データサイズの大きな写真や動画などもサクサク快適に読み込めますよ。
3D性能

HP Spectre Folio 13はゲーミング用途のパソコンではありませんが、一応3DMarkのFire Strikeで3D性能もチェックしてみました。
結果は765と、想定通りの数値です。
オンラインゲームで遊ぶなら、GTX1050などのGPU(画像処理専門の頭脳)を搭載したゲーミングノートを買いましょう。

いずれの数値も当ブログで計測したものなので、参考程度にお考え下さい。
オンラインゲーム
オンラインゲームが本当に遊べないのか、ベンチマークソフトで検証してみました。
いずれも1920×1080(フルHD)の環境で確認したところ、ドラクエXのような軽いゲームならギリギリ動かせそうです。
今でも高い人気を誇るFF14は、画質を落とせば何とか動かせるかも。
FF15は画質を落としても動かせないという結果でした。
FF15

ファイナルファンタジー15は動かせないという結果に。どうしても遊びたいなら、プレイステーション4を買いましょう。
FF14 紅蓮のリベレーター

最高品質 | 715(動作困難) |
---|---|
高品質 | 1004(設定変更が必要) |
標準品質 | 2304(普通) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 2587(やや重い) |
---|---|
標準品質 | 2313(やや重い) |
低品質 | 3171(普通) |
https://pc.sukecom.net/gaming-pc/
Adobe関連のソフトウェア

RAW現像や動画編集もサクサク動かせるのかどうかを検証してみます。
先に結論をお伝えすると、サックサクとは言えないもののそれなりに動かすことはできました。
LightroomでRAW現像
AdobeのLightroomで有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚を書き出したところ、かかった時間は6分強でした。

書き出しの条件は以下の通り。
- 画像形式:JPEG
- 画質:100
- カラースペース:sRGB
- 画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
- 解像度:350
- メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
1600~2400万画素くらいのデジカメで数十枚くらいの現像なら、そこまでストレスを感じることはないでしょう。
ちなみに、高性能なCPUを搭載したクリエイターノートやゲーミングノートなら、約3分で書き出しが終わります。
Photoshopで画像加工
Photoshopも使ってみましたが、何十枚とレイヤーを重ねるような作業をしない限り、サクサク快適に動いてくれました。

ただ、ディスプレイのサイズが小さいので、トーンカーブの微調整などがやりづらいです。
レイヤーマスクを細かく調整したいときなどは、外付けのディスプレイに接続することをおすすめします。
Premiere Proで動画編集
最後にPremiere Proで動画編集も試したところ、いきなり「画面のサイズが合ってない」と注意書きが表示されました。

Premiere ProはPhotoshop以上に表示されるパラメーターが多くなるので、小さい画面は非常にストレスを感じます。

メモリも8GBしか搭載されていないため、使い方次第ではフリーズしてしまうこともあるでしょう。
動画編集をメインに考えるなら、よりハイスペックなクリエイターPCを探しましょう。
https://pc.sukecom.net/creator-pc/
レザーの質感を楽しめる一台

HP Spectre Folio 13は、ノートパソコンの見た目にこだわりたい方におすすめです。
ただ、値段の高さが少々気になります。
同じくらいのスペックで比較すると、もう少し安く買えるモデルも多いため、コスパ最優先の方には正直おすすめできません。
とくに仕事で必須のOffice搭載モデルは22万円~と、なかなかいいお値段です。
レザーの経年変化を楽しむにしても、水濡れなどに気を付けないといけませんし、そもそも2~3年も経てばパソコンを買い替える方も多いでしょう。
レザーゆえの扱いづらさがあるのは事実なので、HP Spectre Folio 13が気になっている方はデメリットもよく理解したうえで購入を決断してください。
