日本HP(以下HP)が販売するノートパソコン、ENVY x360 13(ay000)をお借りしたので特徴や性能について詳しくご紹介します。
AMDの最新世代CPUを搭載し、13.3型のスリム&コンパクトボディながら幅広い用途で活躍する万能マシンです。
仕事はもちろんプライベートでも活躍する、おしゃれでハイスペックなノートPCを探している方は、ぜひご覧ください。
ENVY x360 13(ay000)の特徴

ENVY x360 13(ay000)がどういったパソコンなのか、特徴を整理すると以下の通り。
持ち運びにぴったりな13.3型
最大17時間持つ長持ちバッテリー
指紋認証でセキュリティも安心
仕事やプライベートで活躍する
光沢モニターは好みが分かれる
在庫状況が非常に不安定
基本的なスペックから順にご紹介します。
スペック
CPUやストレージ容量など、お借りしたパソコンの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Ryzen3 4300U |
GPU | Radeon Graphics |
メモリ | 8GB(3200MHz、オンボード) |
ストレージ | 256GB NVMe M.2 SSD |
パソコンの総合的な性能をチェックするベンチマークソフト、PCmark 10のスコアは4,101でした。

Digital Content Creation(動画や写真の編集など)は低めに出ていますが、Excelなどの事務仕事やブラウジングなどの用途であればサクサク動かせるスコアです。
CPU
CPUはAMDのRyzen3 4300Uで、4コア4スレッドでプロセッサー動作周波数は2.70GHz(最大3.7GHz)と控えめ。
TDP(CPUの最大消費電力)も15Wと省電力です。
詳しいスペック面は、CPU-Zの結果をご覧ください。

主なノートパソコン用CPUと、ベンチマーク結果(CINEBENCH R15)を比較した結果は以下の通り。
Ryzen7 4700U | |
---|---|
Core i7-10510U | |
Core i5-10210U | |
Ryzen3 4300U |
IntelのCore i5-10210Uと同程度のスコアでした。
GPU(グラフィックス)
GPUはCPU内蔵型のRadeon Graphics。

最新CPUというだけあって、ベンチマーク(Fire Strike)のスコアも伸びてきています。
GTX1050 | |
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MX250 | |
Radeon Graphics | |
Intel UHD Graphics |
最新パソコンゲームを最高画質でサクサク動かせるほどのパワーはありませんが、写真の加工や動画編集などの用途で活躍します。
CPU内蔵型のGPUとしてはなかなかのスコアですが、専用GPUにはさすがに敵いません。
ストレージ
ストレージはNVMe M.2 SSDを256GB搭載。
転送速度をCrystal Disk Markでチェックしたところ、読み込みで約1,500MB/sとまずまずなスコアでした。

ハイエンドクラスのM.2 SSDだと転送速度が3,000MB/sを超えますが、1,500MB/sでも実用上はまったく問題なし。
今までSATAタイプのSSDやHDDをメインストレージとして使っていた方なら、パソコンの起動やソフトウェアの立ち上がりで、ストレージの速さを実感できるでしょう。
外観・大きさ

ここからはENVY x360 13の外観を見ていきます。


底面は排熱のために一部メッシュ状になっています。
ケースは一般的なプラスドライバーでは開けられないので要注意。

仕様上の大きさは幅306×奥行き194×高さ16.5(最厚部)mmと非常にコンパクト。
小さめのビジネスバッグでも問題なく持ち運べるサイズです。

カバンの中でかさばりませんし、新幹線や飛行機で仕事をするときも無理なく机に置けます。

パソコン単体の重量は実測で約1.2kgでした。
手に持ってみると、見た目以上に軽く感じます。
ACアダプター

ACアダプターの出力は65W。
飛びぬけてコンパクトではないものの、毎日持ち歩くうえで苦にならない大きさです。

ACアダプター単体の重さは実測で約250gでした。
バッテリーの駆動時間は最大17時間で、急速充電にも対応しており、たった30分の充電で約8時間使用可能。
外回りや移動が多い方も安心です。
ラインナップ
ENVY x360 13のラインナップは3種類。
主なスペックと価格を表にまとめました。
CPU | メモリ | ストレージ | Office | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
Ryzen3 4300U | 8GB | 256GB M.2 SSD | × | 70,000円〜 |
Ryzen5 4500U | 8GB | 256GB M.2 SSD | × | 75,000円〜 |
Ryzen7 4700U | 16GB | 512GB M.2 SSD | × | 95,000円〜 |
処理スピードを求めるならRyzen5やRyzen7搭載モデルがおすすめですが、記事執筆時点では在庫がなくなったのか、取り扱いを停止中。
在庫の復活を待つしかありません。
最新の在庫状況は公式サイトにてご確認ください。
大きめの15.6型
「13.3型は小さすぎて作業しづらい・・・」
という方には少し大きめの15.6型(ENVY x360 15)がおすすめ。
主なスペックと価格は以下の通り。
CPU | メモリ | ストレージ | Office | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
Ryzen5 4500U | 8GB | 512GB M.2 SSD | × | 82,000円〜 |
Ryzen7 4700U | 16GB | 512GB M.2 SSD | × | 95,000円〜 |
パソコンを据え置きで使うことが多いなら、ディスプレイは大きめのほうが効率的。
用途に合ったモデルを選んでください。

インターフェイス
ここからはインターフェイスを見ていきます。

- ヘッドフォン・マイクコンボポート
- USB Type-A
- USB Type-C
USB Type-Cは給電や映像出力、電源OFF時のUSBチャージ機能に対応。
4K(3,840×2,160)ディスプレイにも映像を出力できます。

- MicroSDカードスロット
- USB Type-A
- 電源コネクタ
右側面のUSB Type-Aは電源OFF時のUSBチャージ機能に対応。
カードリーダーがMicroSDしか読み込めないのは少々残念。

背面に端子類は何もありません。
無線LANはWi-Fi6、Bluetooth5.0に対応。
インターフェイスは最小限のものしかないので、用途に合わせてUSBハブなどを別途用意する必要があります。
キーボード

キーボードはテンキーレスタイプ。
今回お借りしたモデルは英字配列ですが、国内で販売されているものは基本的に日本語配列なのでご安心ください。
ポコポコ系の薄型ノートPCらしい打鍵感です。


指紋認証センサーも搭載されているため、ビジネス用途で使う方も安心。
タッチパッドは一体型で、さらさらとした質感です。

単色のバックライトも搭載しているため、暗い場所での操作もミスタイプを防げます。
ディスプレイ

ディスプレイは13.3のフルHD(1,920×1,080)解像度。
グレア(光沢)仕様なので、写真や動画が鮮やかに見えます。
ただし、ディスプレイの角度によっては室内灯が映り込みやすいので要注意。
ディスプレイ上部にはWebカメラとマイクも搭載されており、zoomなどを活用したオンライン会議で活躍します。
10点タッチ対応で筆圧検知にも対応しているため、指やタッチペンで操作することも可能です。
タッチペンは付属していません。
sRGBカバー率93.9%の色域


i1 Profilerでディスプレイの色域をチェックした結果は以下の通り。
- sRGBカバー率:93.9%
- AdobeRGBカバー率:72.7%
コンパクトノートPCとしてはなかなか広い色域です。
肉眼で見ても写真や映像がとてもきれいなので、ちょっとしたデザイン業務なら十分使えるでしょう。
ガンマカーブには若干の乱れが見られるので、厳密な色管理が求められる業務には向いていません。
モードチェンジ
ENVY x360 13は、用途に合わせて形状を柔軟に変えられます。



用途に合わせてパソコンの形状を変えられるのは便利ですが、ぐりぐり動かしていると耐久性が心配になります。
その点、ENVY x360 13のヒンジ部分は3万2,000回以上もの可動テストをクリア。
乱暴に扱わない限り、パソコンより先にヒンジが壊れることはないでしょう。
クリエイティブ性能の検証

ここからはパソコンに負荷のかかる各種クリエイティブ用途で、ENVY x360 13の性能を検証した結果をご紹介します。
まずはPhotoshopやIllustratorで軽めのデータを編集してみました。


エフェクトの処理には数秒程度かかるものの、おおむね快適に動かせます。
ただし、13.3型の画面はとても狭いため、ディスプレイ設定で表示スケールを100%にしておくことをおすすめします。

デフォルトでは150%になっていますが、表示が大きすぎてクリエイティブソフトの操作には向いていません。
Lightroom

続いてLightroomでRAWデータの書き出し速度をチェックしました。
使用したのは有効画素数3,635万のニコンD810で撮影したRAWデータ100枚で、書き出しにかかった時間は4分26秒。
主なノートパソコン用CPUとスコアを比較すると以下の通り。
Ryzen7 4700U | |
---|---|
Core i7-10510U | |
Ryzen3 4300U | |
Core i5-10210U |
飛びぬけて速くはないものの、薄型ノートPCとしては悪くないスピードです。
Lightroomの書き出し速度はCPU性能が大きく影響するため、RAW現像などを多用するならRyzen7搭載モデルがおすすめです。
Lightroomの書き出し条件は以下で統一しています。
画像形式 | JPEG |
---|---|
画質 | 100 |
カラースペース | sRGB |
画像のサイズ | 未調整(撮影データそのまま) |
解像度 | 350 |
メタデータ | すべてのメタデータ (人物情報や撮影場所の情報は削除) |
Premiere pro

Premiere Proで動画編集も試してみました。
メモリが8GBしか搭載されていないこともあり、エフェクトによっては若干処理が遅延します。
画面が小さいということもあり、快適に作業できるとはいえません。
動画編集時は外部モニターにつなげて、大きな画面で作業することをおすすめします。
After effectで演出を作りこんだり、4K動画の編集なども考えていくとなると、さすがにパワー不足です。
4K動画の書き出し
4K動画の書き出しに、どれくらい時間がかかるか検証しました。
検証のために用意したのは、GoPro HERO7 Blackで撮影した4K 60fpsの動画データ。
書き出し条件とかかった時間は以下の通り。
H.264 Youtube 1080p FHD | 23:11 |
---|---|
H.264 Youtube 2160p 4K UHD | 25:50 |
薄型ノートPCだと書き出しに50分近くかかることもあるので、なかなかのスコアです。
とはいえ動画の書き出し中はほかの作業も重くなるため、休憩中などパソコンから離れるタイミングで実施することをおすすめします。
ゲーム用途の性能チェック

ゲーム用途のパソコンではありませんが、参考までにベンチマークのスコアをご紹介します。
ベンチマーク結果
パソコンの負荷が軽いベンチマークソフトを走らせたところ、FF14は標準画質なら快適に動かせるようです。
ドラクエXはグラフィックがとても軽く、最高画質でも動かせます。
出張先でMMOにログインしたいときなどに活躍するでしょう。
フォートナイトのような3Dゲームを最高画質でスムーズに動かせるだけのパワーはないので、本格的にゲームがしたい方は素直にゲーミングパソコンを買ってください。
FF14 漆黒の反逆者

最高品質 | 1924(設定変更を推奨) |
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高品質 | 2655(やや快適) |
標準品質 | 3610(快適) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 6283(快適) |
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標準品質 | 7656(とても快適) |
低品質 | 8384(とても快適) |
毎日パソコンを持ち歩く方に最適

最後にもう一度HP ENVY x360 13(ay000)の特徴をおさらいします。
持ち運びにぴったりな13.3型
最大17時間持つ長持ちバッテリー
指紋認証でセキュリティも安心
仕事やプライベートで活躍する
光沢モニターは好みが分かれる
在庫状況が非常に不安定
Core i5クラスの性能を秘めながら、70,000円~で買えるのはなかなかのコスパです。
スリムかつコンパクトなボディは毎日持ち歩いても苦にならず、長持ちバッテリーも搭載されているため、コンセントのない場所でも安心して作業できます。
見た目もおしゃれで、自宅用のパソコンとしても活躍するでしょう。
在庫状況が不安定なのは今後の改善を祈るしかないので、気になっている方はこまめに公式サイトをチェックしてください。
